骨粗鬆症対策その4 骨を深堀り&女性ホルモンとの関係
こんにちは(^^)
鮎田奈央海です。
本日は骨について深堀りします。
骨って、成長期が終わったら、ずっとそのままというイメージがある方は多いと思うのですが、実は入れ替わってます。
骨も代謝する
成長期は、骨がどんどん成長していきます。
そんな成長期でも、古い骨が新しい骨に置き換わりがあり、
若者で約3年、高齢者は約5年で、全身の骨が入れ替わると言われています。
骨の代謝は大きく分けると2つ!
・「骨吸収」で骨を壊す
・「骨形成」で骨をつくる
「骨吸収」とは、体内の骨から、再利用できるカルシウムなどのミネラルなど再利用できるものを取り除くことです。
これを行う細胞は「破骨細胞」と呼びます。
「骨吸収」は、骨に含まれるミネラルを血液中に放出し、体のカルシウムバランスなどを維持するために重要です。
「骨吸収」と文字だけみると、なんだか骨を作っているイメージがわくのですが、実は壊しているのです。
栄養学を勉強されている方は、「脱灰」を思いだす方も多いのでは。
血液中の酸アルカリバランス、リンカルシウムバランスをとるために、骨からカルシウムを溶かすことを「脱灰」と呼びます。
一方、「骨形成」は、文字のとおり、新しい骨組織を作り出すします。
「骨形成」には、「骨芽細胞」が関与しています。
子供も大人も「骨吸収」と「骨形成」が同時に進行しているわけで、両方が並行して起こっていることをリモデリングと呼びます。
骨の代謝は骨を作り出す「骨形成」と、古い骨を取り除く「骨吸収」のバランスによって成り立っています。
成長期:骨形成>骨吸収で成長
青年期:骨形成=骨吸収で現状維持
更年期以降:骨形成<骨吸収で骨量減少
成長期において、骨代謝はとても活発です。
この時期には、骨形成が骨吸収を上回り、骨が急速に成長し強化されます。
当然ですが、この時期に適切な栄養や運動をすることが、健康な骨の発達に不可欠です。
人生の中で、骨量のピークのことをピークボーンマスと呼びます。
ピークボーンマス
成人になると、ピークボーンマスと呼ばれる最大骨量に達します。
女性では18歳位、男性は20歳位です。
ピークボーンマスは、成人後も骨の強度を維持する重要な要素となり、十分なピークボーンマスを確保することは、将来の骨の健康と骨折リスクの軽減につながります。
成長期に過激なダイエットをしたことがある
生理が長期間に止まっていたなどがあると
ピークボーンマスが低くなってしまった可能があります。
骨粗鬆症対策は、成長期からも意識することが大切です。
私は、18歳で、大学生として一人暮らしをスタート。
過激なダイエットで1週間で5キロ減みたいなことをくり返していた時代があります。
ただ、高校卒業までは両親の庇護の元、身長163cm、体重53~54キロ位をキープ。
中学は軟式テニス部、高校は剣道部と骨にはしっかり負荷がかかっているなと思います。
私は、高校卒業時に女性は貧血と骨密度検査を取り入れて、啓蒙活動をすれば良いと思います。
この時に適切な指導があれば、アラサー以降の妊活時、更年期以降の骨粗鬆症対策にも絶対良いはずです。
そして、45歳以降、特に女性は、女性ホルモンのエストロゲンの減少から骨量の減少していきます。
エストロゲンと骨の関係
エストロゲンは、骨形成を促進し、骨吸収を抑制する働きがあり、骨を丈夫に保つのに重要な役割を果たしています。
女性の更年期には、エストロゲンの分泌が低下し、骨密度が低下し、骨折のリスクが増加します。
閉経してからの10年間で2割の骨を失うと言われています。
女性ホルモンの減少による骨量の減少を予防するために、まずは、より栄養バランスの良い食事や適切な運動が必須です。
そして、時には必要に応じて医師の指示に従った投薬やホルモン療法が有効です。
実はFBに私のデキサ検査結果を投稿で骨密度が下がっている~と嘆いたところ、分子栄養学の巨匠からメッセージがいただきました。
閉経後の骨量アップには、ナチュラルホルモン療法が有効です。
ナチュラルホルモン療法とは、保険適用外で、合成ながら、我々の体内で作られるエストロゲンやプロゲステロンなどと全く同じ構造式の物のホルモンを使った治療方法です。
ホルモン療法はバッチリ当てはまれば、何よりも効果が出るはずですが、閉経してから10年経過していることと、普通に改善できる方法を模索したく今に至ります。あと費用もかかりますから(^^;
ちなみに、私の結果です↓
現在は、栄養や運動で少しでも回復できるように試行錯誤中です。
骨粗鬆対策で処方される薬については、また次回解説します。
なお、最近の研究によると、骨の細胞が全身の臓器をコントロールし、免疫システムや脂肪の代謝にも関わっていることがわかってきました。
骨と免疫の関係
1.骨が免疫力を高める~感染から体を守るためには骨を作る細胞が重要~
(東京大学/ JST 科学技術振興機構)
http://www.jst.go.jp/pr/announce/20160615/index.html
東京大学の研究チームは、敗血症のモデルマウスを使って、免疫抑制状態がどのようにして生じるかを調査し、敗血症後の免疫力低下のメカニズムが明らかにされました。
敗血症では、体全体に炎症が広がり、骨の中の骨芽細胞が影響を受け、骨量が減少し、骨内の特定の細胞がリンパ球の形成を妨げ、免疫力が低下します。研究者たちは、この状態を改善するために、骨芽細胞を対象とした新しい治療法の可能性を提案しています。
2.骨と免疫の新しい夜明け
(戦略的創造研究推進事業ERATO 高柳オステオネットワークプロジェクト JST news 2012)
https://www.jst.go.jp/pr/jst-news/backnumber/2012/201206/pdf/2012_06_p03.pdf
高柳氏は大学卒業後、整形外科医として活躍し、関節リウマチの手術を行っていました。
しかし、手術が対処療法に過ぎないことに疑問を持ち、関節リウマチの根治に向けて研究を始めます。
彼は関節リウマチにおける破骨細胞の研究に着手し、免疫系との関連性に注目しました。
その結果、T細胞が関節リウマチにおいて特定の免疫調整物質を分泌しなくなることが骨の破壊を促進し、同時に破骨細胞を増やす因子の発現を増加させることが明らかになり、免疫系と骨代謝の相互作用が示され、骨免疫学という新たな分野が開かれました。
また高柳氏は2009年にJST ERATO「高柳オステオネットワークプロジェクト」の研究総括に就任し、骨免疫学の先駆者としてリードしています。プロジェクトは多様な学問領域から若手研究者で構成され、骨が体内の全身組織を制御するメカニズムを探求中です。
骨髄で免疫の要の白血球を作っているから、免疫には関係あるだろうな~と思うのですが、これからの骨免疫が深まれば、難病の改善の糸口になる期待が高まりますね。
次回は、今さらですが基本のキ!骨粗鬆症とは?
実際に骨粗鬆症対策に使われる薬について解説します。
本日も最後までお読みくださり、ありがとうございました(^^)