骨活栄養学!運動のすすめ
日本国内では、骨粗鬆症患者数は推定1,200万人にも上り、早めの対策が必須です。
その中でも運動は、骨粗鬆症予防や進行抑制においてとても有効です。
本日は運動療法について解説します。
まずは復習です。骨粗鬆症とは?
骨粗鬆症とは
骨粗鬆症は、骨密度が低下し、骨の強度が減少する病気です。
骨はカルシウムやリン、マグネシウム、タンパク質などの栄養素で構成され、約3年間で再構築されますが、年齢を重ねるごとにその再生能力が低下します。
特に閉経後の女性は、女性ホルモン(エストロゲン)の減少により、骨密度の低下が急速に進む傾向があります。
エストロゲンは骨代謝に関与しており、その減少が骨粗鬆症の発症リスクを高めます。
また、骨粗鬆症になると、骨が脆弱になり、通常では考えられないようなことで骨折することがあります。
最も一般的な骨折部位は、背骨(椎骨)、股関節、大腿骨、手首などです。
骨折により、寝たきりや運動機能の低下を招き、生活の質を著しく低下させる可能性があるため、早期からの予防が重要です。
骨粗鬆症と運動の関係
骨は負荷がかかることで強くなる性質があり、運動によって適度な負荷を与えることで骨密度が維持・向上します。
運動が骨粗鬆症に与える影響は、主に以下の2つのメカニズムによるものです。
- 骨にかかる負荷による骨形成促進
運動中、骨にかかる力は骨のリモデリングを促進し、新しい骨を形成します。
特に、重力に逆らう運動(体重を支える運動)や筋肉が骨に強い負荷をかける運動が有効です。
これにより、骨密度が増加し、骨が強化されます。 - 筋力強化による骨折リスクの低減
運動は筋力の向上にも寄与します。
筋肉が強くなることで、転倒のリスクが減り、転倒したとしても骨折を防ぐための衝撃吸収が期待できます。
また、バランス感覚や柔軟性も運動によって改善され、これも骨折リスクを低減する要因となります。
具体的な運動内容
1. 骨に負荷をかける運動
骨は負荷がかかることで強化されるため、日常生活で骨に適度な刺激を与えることが重要で以下がお勧めです。
ウォーキング
ウォーキングは最も簡単かつ効果的な有酸素運動です。歩くことで骨に適度な負荷がかかり、骨密度の維持に貢献します。
特に、速歩や坂道を歩くことで、さらに負荷がかかりやすくなります。
ポイント:
・1日30分以上を目安に、週に3〜5回、できれば毎日が理想です。
・歩くスピードを少し早めにし、姿勢を正して歩くことが効果的です。
階段の上り下り
階段を上り下りする運動も、足腰に負荷をかける良い方法です。
特に骨盤周りの骨や大腿骨に刺激を与えることができ、骨の強化に繋がります。
ポイント:
・無理のない範囲で、日常生活の中で意識的に取り入れましょう。
・エレベーターやエスカレーターではなく、階段を利用する習慣をつけると良いでしょう。
ジョギングやダンス
軽いジョギングやエアロビクス、ダンスなども骨に負荷をかける運動として効果的です。
特に音楽に合わせて楽しく行うことで、継続しやすく、認知症予防にも効果が高いという報告もあります。
ポイント:
・初心者の場合は、無理をせずにウォーキングから始め、徐々にジョギングやダンスに移行することをお勧めします。
・自分のペースで無理なく行うことが大切です。
2. 筋力を強化する運動
筋肉が強くなることで、骨への負荷が軽減され、転倒や骨折のリスクを低減する効果があります。
以下は骨粗鬆症対策に有効な筋力トレーニングです。
スクワット
スクワットは、大腿四頭筋や臀筋などの大きな筋肉を鍛えることで、下半身の筋力を強化し、骨盤や大腿骨の骨密度を維持するのに役立ちます。
やり方:
足を肩幅に開き、背筋を伸ばして立ちます。
ゆっくりと膝を曲げ、太ももが床と平行になるまで腰を下ろします。
息を吸いながら下がり、吐きながら元の姿勢に戻ります。
ポイント:
1日に10〜15回を目安に、2〜3セット行うと良いでしょう。
椅子を使って座る・立つ動作から始めると、初心者でも安全に取り組めます。
腕立て伏せ(プッシュアップ)
腕立て伏せは、上半身の筋肉を強化する運動です。骨密度の維持には、下半身だけでなく上半身もバランスよく鍛えることが大切です。
やり方:
両手を肩幅に広げ、体をまっすぐに保ちながら床に手をつきます。
ゆっくりと肘を曲げて体を下げ、胸が床に近づいたところで戻ります。
ポイント:
初心者は膝をついた「膝つき腕立て伏せ」から始めると良いです。
10回を1セットとし、2〜3セット行うことを目標にしましょう。
ヒップリフト(ブリッジ)
ヒップリフトは、背中や臀部、太ももの裏側の筋肉を鍛える運動で、腰や背骨周りの骨の強化に繋がります。
やり方:
仰向けに寝て、膝を立てます。腰をゆっくりと持ち上げ、肩から膝まで一直線になるようにします。
数秒キープしてから、ゆっくりと元の姿勢に戻ります。
ポイント:
1セット10回を目安に、2〜3セット行うと効果的です。
腰を無理に持ち上げないよう、腹筋に力を入れて行いましょう。
3. バランスを鍛える運動
骨粗鬆症の予防には、転倒を防ぐためのバランス能力の向上も重要です。
転倒による骨折は高齢者に多く見られるため、バランス感覚を鍛える運動が推奨されます。
片足立ち
片足で立つことでバランス感覚を養い、下半身の筋力も強化できます。どこでも手軽にできる運動です。
やり方:
まっすぐに立ち、片足を少し上げて、バランスを保ちます。
片足で30秒立ち、反対の足も同様に行います。
ポイント:
・支えが必要な場合は、壁や椅子に手を添えて始めると良いです。
・慣れてきたら、目を閉じて行うとさらにバランス感覚が鍛えられます。
ヨガや太極拳
ヨガや太極拳は、ゆったりとした動きで筋力やバランスを鍛えるのに適しています。
特に呼吸を意識しながら行うことで、リラックス効果も得られ、ストレス軽減にも役立ちます。
ポイント:
ヨガや太極拳は、体の柔軟性も高めるため、関節の可動域を広げ、怪我を防ぐ効果も期待できます。
初心者向けのクラスや動画を活用して、無理なく続けることが大切です。
4. 骨粗鬆症対策における運動のポイント
継続がカギ
骨粗鬆症予防のための運動は、短期間で成果を期待するものではなく、長期間にわたって継続することが大切です。
適度な運動を習慣化することで、徐々に骨密度が維持・改善されていきます。
栄養との組み合わせ
運動とともに、マグネシウム、カルシウムやビタミンD、タンパク質、ビタミンCなど、骨の健康を支える栄養素の摂取も欠かせません。
特にビタミンDは、骨にカルシウムを取り込む働きを助けるたり、免疫のバランスをとる栄養素です。日焼け対策をしていると不足することが多いので注意が必要です。
自分に合った運動を選ぶ
自分の体力や生活スタイルに合わせた運動を選ぶことが重要です。
無理なく続けられる運動を見つけることで、モチベーションを維持しやすくなります。
また、体に痛みや違和感が生じた場合は、無理をせずに専門医に相談しましょう。
まとめ
骨粗鬆症対策には、運動が非常に重要な役割を果たします。
骨に負荷をかける運動や筋力トレーニング、バランスを鍛える運動を日常生活に取り入れることで、骨の強度を維持し、転倒や骨折のリスクを減少させることが可能です。
運動を継続することで、骨粗鬆症を予防し、健康的な生活を送りましょう。
本日も最後までお読みくださり、ありがとうございました(^^)