ダイエット効果抜群?ケトジェニックダイエットを解説します

栄養士&健康研究家の鮎田奈央海です。

巷で良く聞く、ケトジェニックダイエット。
一言で説明すれば、生きるためのエネルギー源を脂質中心にすること。
減量に効果的ということでも注目されてます。

ファスティング指導をしている方には、ケトン体という言葉でなじみ深いことでしょう。

ファスティングスタートしてから、約48時間以降に脂肪燃焼が本格的にスタートし、皮下脂肪、内臓脂肪を燃焼することでケトン体で作られます。

ケトン体は、脳からα波やβエンドロフィンの分泌を促し、交感神経優位の方が副交感神経のスイッチが入り、満腹中枢を刺激するなどメリット大。なおファスティング中でなくても、ケトン体を出すことは可能です。

ケトジェニック=糖質制限?というご質問がありましたので、メリット&デメリットもまとめてみました(^^)

ケトジェニックダイエットとは

糖質制限ダイエットの一種で、エネルギー源のメインを糖質から脂質に切替えて、脂質代謝でできたケトン体を利用した食事療法です。

糖質制限の中にケトジェニックダイエットがあり、三大栄養素のバランスで糖質制限はもちろん、プラスで脂質を計算で増やすことが必須となります。
糖質制限の中でもハードルが高い食事療法です。

メリット

・ケトン体が増えて、α波、βエンドロフィンが増える。

・糖質の摂取量を減らすので、血糖値の乱高下がない。

・糖質中毒から脱却できる。

・糖質の量が減るので結果としてインスリンを節約できる=ダイエット効果大=糖尿病予防にもなる
(インスリンは別名肥満ホルモン。出れば出るほど太ります。)

・MCTオイルを活用すれば、減量時の筋肉の分解を最小限に抑えられる。

・空腹感に悩まされない。

などのメリットがあります。

糖質制限とは?

糖質制限は、糖質の量を制限する食事療法です。

元々はインスリンの出が悪いorインスリンの効きが悪く、高血糖状態になるから、その元凶である糖質の摂取を最低限にすれば良い!という発想の元考案されて、糖尿病の治療食として有名になりました。

京都の高尾病院の江部先生はⅡ型糖尿病で、糖質制限によって血糖値をコントロールされてます。
江部先生のブログは→ドクター江部の糖尿病徒然日記 (fc2.com)

江部先生のブログを拝見すると、下記の表のスーパー糖質制限を実施されており、例えば夕飯ですが、もちろんご飯はなし!

鯵の刺身、鶏のから揚げ、サラダ、具沢山スープという感じのメインが2品のようなお食事となり、エンゲル係数が高くなりそうです。

  糖質 脂質 タンパク質
従来の糖尿病食 55~60% 20~25% 15~20%
糖質制限 35%前後 40%前後 25%
スーパー糖質制限 15~20% 55% 25~30%

※糖質制限・・・朝夕のみ主食抜き  スーパー糖質制限・・・三食とも主食なし

スーパー糖質制限でも、エネルギーの15~20%の糖質をとる点で、ケトジェニックダイエットよりも糖質が取れるイメージです。

なお、ケトジェニックダイエットの理想的なバランスは、糖質:10%、脂質:60%、タンパク質:30%と言われています。

一般的な糖質の必要量は?

日本人は総エネルギーの50~60%を糖質から摂取しており、ブドウ糖が不足すると赤血球が酸素を運べなくなったり、脳の働きが低下するのではと言われています。

では実際にどの程度の糖質が必要かと言えば

糖質の必要量/1日
脳:約90g
赤血球:約45g
合計:約135g
(からだの働きからみる代謝の栄養学  田中邦夫著)

脳はケトン体をエネルギー源にできますので、ブドウ糖のみをエネルギーとする赤血球分の45gを確保すれば良いです。

1日糖質45gは、野菜などからとることが可能です。

追記:脳のエネルギーの25%はブドウ糖が必須との記載あり「ストライヤー生化学第7版」

エネルギーを作る3つの経路

では実際に、ケトン体はどうやってエネルギーに使用されているのでしょうか?

エネルギーを作る回路は、大きく分けると3つあります。
1.解糖系→ミトコンドリア(TCAサイクル・電子伝達系)
2.糖新生
3.ケトン体回路

1.解糖系は、酸素がなくてもエネルギー(ATP)を素早く2個作る回路です。
酸素があればミトコンドリア内のTCAサイクル、電子伝達系で効率よく更に34個のATP を作ることもできます。

2.糖新生は、肝臓や筋肉の糖質(ブドウ糖)の貯金であるグリコーゲンが使い果たすと、筋肉を分解してエネルギー源となるピルビン酸などに変換して、TCAサイクル・電子伝達系でATPを作りだします。

なお血液検査のALTの値(肝機能をみますがアラニン回路の糖新生状態も反映)が低い方(10以下)は、糖新生を盛んにしていて、普段から低血糖が原因で筋肉分解をしている可能性があると最近宮澤先生がおっしゃってます。

そして、今回のメインテーマ「ケトジェニック」となるための回路が3.ケトン体回路です。

糖質やグリコーゲンがなくなった時に、中性脂肪をグリセリンと脂肪酸に分解して、脂肪酸からアセチルCoA、TCAサイクルよりも、ケトン体の回路の方がメインのエネルギー源となります。

出典:https://www.pinterest.at/pin/329466528985099162/

通常、中性脂肪が分解されてできた脂肪酸は、鎖の長い脂肪酸であることが多く、カルニチンが必要です。

カルニチンは、肝臓で2つのアミノ酸(リジンとメチオニン)から合成されますが、ピークは20代とも言われます。

年を重ねてなかなか脂肪が落ちないのはカルニチン不足なのかもしれません。

アラフォーからは、赤身の肉(ラム、牛肉など)やサプリで不足分を意識して取る必要があります。

中鎖脂肪酸は、カルニチンなしでケトン体に代謝されエネルギー生成できる

出典:https://sgmbibouroku.net/archives/2423


中鎖脂肪酸とは、MCT、ココナッツオイルなどに多く含まれる、下記の図のような中くらいの長さの脂肪酸です。

通常食事から摂取する脂質は、長鎖脂肪酸でバター、ごま油、大豆油、コーン油、オリーブオイル、肉、卵、乳製品、亜麻仁油、魚油など

短鎖脂肪酸の代表選手は、酢酸プロピオン酸酪酸で、食材からというより、腸内細菌が食物繊維を分解して作ってくれていいます。

脂 質

出典:長鎖脂肪酸とはどんな成分?中鎖脂肪酸とは何が違うの? | 仙台勝山館ココイル (shozankan-shop.com)

ケトジェニックになるための方法

実際にケトンジェニック(体質)になるにはどうしたら良いでしょうか?

2015年と少し古い本ですが、下記の本を参照しました。

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最初の数日間は、ケトン比1.5以上を理想とします。

ケトン比とは、食べる脂質量をタンパク質+糖質量で割ったものです。

1日2000kcalとすると、糖質は全代謝の10%として200kcal
糖質は1g4kcalなので50gとることができます。

脂質量が120g(1080kcal)
糖質量が50g+タンパク質が30g=合計80g(240kacl)
120/80=1.5

ケトン体質に変わったら、炭水化物を50g以下に抑えることで1.2程度でもOKらしく
脂質量が100g(900kcal) 
糖質量が50g+タンパク質が30g=合計80g(240kacl)
100/80=1.25

通常、三大栄養素のバランスは、糖質50~60% タンパク質25~30% 脂質15~20%

一般女性平均よりやや多めの2000kcalのなら、
糖質で50%で1000kcal/4=250g 
タンパク質30%で600kcal/4=150g 
脂質20%で400kcal/9=44.4g

ケトン比を1.5以上にするのは、脂質を120g。
通常は44.4gですので、約3倍の脂質が必要となり、お腹を下しそうです。

本書では、乳化剤の役目としてレシチンをサプリで取ることを推奨されてました。

なお、ケトン体質のチェックは、経験上、尿よりも血液中のケトン濃度を確認が正確です。

血糖値測定器のリブレでケトン体測定が可能ですが、海外のサイトで「β‐ケトン測定電極Ⅲ」などの購入が必要なのです。何回も測定が必要ですから、安く手に入れる方法が↓のサイトがわかりやすかったのでリンクを貼っておきます。
第19回 フリースタイルリブレでケトン値を測るには (kouhukuningen.com)

↑のサイトから、目安を↓にコピペ

~0.5mol ケトン体質とはまだちょっと言えないレベル。主食抜きくらいだと、ずっとここ。
0.6~1.0mol ケトン体質。厳格に糖質制限(一日40g~20g)して1か月~半年継続など、本格的なレベル。
1.0mol以上 完全ケトン人間。

↑の本には、0.8mol以上キープでケトン体質と書いてありました。

断食メガネの田中さんのファスティング前後のケトン体濃度をもう8年以上前に伺った時の数値は下記です。
通常時:0.1mol 
断食2日目:0.8mol 
断食3日目:1.8mol 
断食5日目:4.3mol

断食3日目以降は、完全ケトン人間状態で、断食3日目の朝は脳からα波が出ているのか爽快な気分を味わえます。

人によっては5日目以降ということもありますが、この気持ち良さを是非味わっていただきたいです。

詳細方法は本を購入ください。実施にはハードル高そうです。
まずは、プチケトジェニックを体感が良いです。以下を以降を参考にしてください。

まずはこちらの方法がお勧めです

1.糖質は、1食20g以下にセーブ!
ケトン体をつくり出すための必須条件は糖質制限(1日当たり50g以下)
ご飯(雑穀米・玄米)約50g(お茶碗1/3くらい)

2.タンパク質は、決められた量を!
1日に「体重1kg当たり1.2~1.6gのタンパク質」(2.0gは超えないよう)
手の平にのる大きさで、3皿くらい

3.葉野菜などは、肉魚と同量以上の量を!
食物繊維の総量(水溶性と不溶性)は1日20g以上が目標
葉野菜は重量の3~5%が食物繊維なので、400gのサラダで約20gとれる

4.中鎖脂肪酸を使う(MCT 大さじ2杯位)

MCTオイルを使ってみよう

MCTオイルの体感ができる摂取量は、10g/回を1日に2回です!

規定量の脂質を普通の油からとっていたら、カルニチン不足でエネルギー化できない方が多いと思われます。
そこで、カルニチン不要で即エネルギーにはオイルの摂取が必要です。

しかし、初心者がいきなり10g/回とると、 おそらく下痢と胃腸の不快感があらわれるので、3~5g/回からスタート 胃腸の様子を見ながら、徐々に増やしましょう。

オイルよりもパウダーの方が慣れやすく、使いやすいです。そして必ず非加熱でとってください。

愛用のMCTパウダーは↓です。
 C8(カプリル酸)が多く、カンジタ対策になるメリットがあります。

https://amzn.to/3JQanna

デメリット

メリットが沢山ありのケトジェニックダイエットですが、マイナス面もあります。

1.長鎖脂肪酸のエネルギー化が苦手な人がいる
尿有機酸検査をするとご自身の状態がわかります。ただ検査代が5万円位。
苦手な方への対応としてはとりあえずカルニチンをサプリで取るなどをお勧めします。

2.長期間するとエネルギー不足で、身体が省エネモードからの甲状腺機能低下
糖質制限して脂質代謝が上手に回らないと、身体は省エネモードと判断し、甲状腺機能低下を起こし、なかなか元にもどらないことがあります。

宮澤塾(分子栄養学実践講座)では、Low T3症候群(下垂体性甲状腺機能低下) の話はよく出てきます。
TSH→ T4→↓T3↓ 
T3が低いのに、脳の下垂体からTSHの分泌が上がらない、
脳からの指令が働いていない=HPA軸全体が機能していないと判断します。
副腎疲労からの甲状腺機能低下になっていることも多く、まずは副腎ケアが必須です。

副腎ケアについては、また別途ブログに書きますね。
副腎疲労も適度に糖質を入れて、血糖値を安定させることが大切です。

また、糖質を減らすために食費が高くなりがち・ケトン臭が出る・食物繊維不足になりやすいというデメリットもありますので、自己流ではなくプロの指導をお勧めします。

なお糖質制限するとダイエット効果は抜群ですが、長期間ではなく、3カ月くらいまでの短期間で、継続するなら夜だけ糖質制限がお勧めです。

ただ~副腎疲労がある方は、夕飯も糖質を取った方が良いので、ご自身のパターンを知りたい方は、個別相談がお勧めです。

まとめ

・ケトン体質になるメリットは沢山ある!
ダイエット効果、ガン、認知症、癲癇対策などなど

・ケトジェニックダイエットは、MCTオイルを活用すると良い
MCTオイルは少しづつプラスしていくこと

・糖質制限からの食物繊維不足から腸内環境悪化や甲状腺機能低下の可能性あるので注意が必要

・副腎疲労がある方は、まずは改善してからトライ

・食指導を仕事にされている方はまずはご自身で試してから、お客様へください。

私は、メリット沢山と思うのですが、ケトジェニックになっているか、指に何回も針を刺して測定しながらのケトジェニック確認が、、、
年1~2回のファスティングの時にケトジェニック状態を楽しみます(^^)

おまけ(ガンとケトン食)

ケトン食は、ガンの方の食事療法として有効との研究報告もあります。

吉富さんのガンセミナーでは、ケトン食は糖質制限をしっかりする必要があり、ケトン体のエネルギー回路を回せない人もいるので60歳以上の方、糖質制限が難しい方には、お勧めしないとのことでした。

吉富さんのYouTubeは↓ 
(146) 栄養チャンネル Nobunaga – YouTube

大阪大学医学部の萩原教授らのケトン食の臨床研究

・化学治療にケトン食を併用することで、ホットスポットが劇的に消滅。
・ケトン食療法は患者の長期予後を著しく改善。
・3年生存率44%と非常に有望であった。

・「ケトン食は、ガン治療の有望なサポート療法として希望を与える。Nutrients. 2020 May; 12(5):1473

 

 

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