悪玉コレステロールが高い?胆汁を理解しよう
こんにちは(^^)
鮎田奈央海です。
先日、ケトジェニックダイエットについて解説しました。
ケトン体のメリットは沢山ありますが、その前に摂取した脂質がちゃんと消化吸収されることが大切です。
今回は、脂質の消化吸収のみならず、デトックスの要でもある胆汁について解説します。
胆汁とは?
胆汁は、黄褐色でアルカリ性の液体で1日に約500~800ml分泌されます。
肝細胞で生成され、胆のうに一時貯蔵し、1/6~1/12まで濃縮され、食事の時に胆のうが収縮し、同時に総胆管の十二指腸開口部であるオッディ括約筋が弛緩し、十二指腸に排出されます。
胆のうの収縮、オッディ括約筋の弛緩がタイミングよく一気に起こせる自律神経の働きってすごいです。
そして、↓の図のように膵臓からの消化酵素も総胆管で胆汁と合流のち、オッディ括約筋が開いて、十二指腸が出てくるわけで、ここに胆石でも詰まろうものなら、消化酵素が逆流して大変なことになることが想像できます。
胆汁の成分は、水分が90%で、胆汁酸、コレステロール、ビリルビンなどの胆汁色素も含まれます。
メイン部隊が胆汁酸で、界面活性剤として脂質を乳化し、脂質の消化酵素のリパーゼと反応しやすくします。
ですから脂質の消化吸収に必須!揚げ物でお腹を壊しやすい方は、胆汁酸の分泌が悪いかもしれません。
胆汁と胆汁酸とごっちゃになるのですが、胆汁の一部が胆汁酸です。
腸内に分泌された胆汁酸の約95%は小腸で再吸収され、肝臓に戻されます。
それを腸肝循環と呼びます。
破壊された赤血球から離れたヘモグロビンのタンパク質部分から切り離されたヘムが、肝臓で代謝され黄色のビリルビンに変化し、ビリルビンは肝臓でグルクロン酸抱合を受けて水溶性になり胆汁とともに分泌されます。
抱合して(囲って)胆汁と一緒に分泌(排出)は解毒でも同じことを行います。
ビリルビンの大半は腸内で腸内細菌によりウロビリノーゲンに還元され、その一部が体内に再度吸収。
ウロビリノーゲンは抗酸化作用があり、これが体内で酸化を受けると黄色のウロビリンに変化します。
通常の尿の黄色はウロビリンによるものです。
これらの循環は腸肝ウロビリノーゲンサイクルと呼ばれます。
腸内に残ったウロビリノーゲンは腸内細菌によりステルコビリノーゲンに還元され、ステルコビリノーゲンが酸化を受けると茶色のステルコビリンになり、ステルコビリンは大便とともに排泄され、大便が茶色になる要因です。
ですから、胆石などで胆管が詰まり胆汁が出なくなると便が白くなります。
図や内容の一部の出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』胆石ガイド
そして、胆汁はデトックにも必須です。
通常脂溶性の毒物は
1.肝臓で活性化して
2.抱合して(囲って)
3.胆汁酸に混ぜて、胆汁として、十二指腸に出します。
これを解毒のフェーズ1・2・3と呼びます。
フェーズ1の活性化はしやすいのですが、フェーズ2の抱合が材料がないとできないので、寝た子を起こした状態になり逆にヤバイ?そんな方が多いです。
フェーズ3で胆汁にまぜて出すので、便秘があると、二次胆汁として戻ってきてしまいます。
フェーズ2の抱合で必要なのは、グルタチオン、Nアセチルシステイン、シリマリンなど。
グルタチオンが抗酸化に使われないように、普段から抗酸化対策をしておく事も大切です。
フェーズ3の排出であると良いのは、クロレラ、活性炭、DMSA、アルファリポ酸です。
胆のうの病気について
胆石は、胆汁の成分が石のように固まったものです。
胆のう炎は、胆のうの細菌感染により起こり、急性と慢性があります。
胆管炎は胆管の細菌感染によっておこります。
胆のうポリープは、95%が良性で、コレステロールが胆のう壁に付着でできることもあります。
胆道がん(胆のうがん、胆管がん)は頻度は高くないが増加傾向あります。
一番多いのは胆石です
10~15人に1人
症状が出ない人もいて、2/3が無症状。
コレステロール結石が約70%と一番多く、現代人の食生活が関係しています。
次は、ビリルビンカルシウム結石で約25%
黒色石は約5% 少ないものの最近増加傾向にあるそうです。
胆のう結石が約70~80%と胆のう内にでできることが多く
総胆管結石、肝内結石:約1%は菅内にできます。
胆石ができるの理由のひとつ、胆のうで胆汁が濃縮される際に何らかの原因で遊離したコレステロールの結晶が成長することが多いです。
これは、胆のうが胆汁を出す力が弱い(胃腸の蠕動運動が弱い)、食事と食事の間隔が長いなども関係します。
ウルソと胆汁酸の関係
肝臓で合成される胆汁酸は、以下の5つの種類です。
ウルソとは、ウルソデオキシコール酸(UDCA)の略称です。
肝臓で合成されるものが一次胆汁酸です。
一次胆汁酸が腸内細菌によって変換されて作られるものを二次胆汁酸と呼びます。
ウルソデオキシコール酸(UDCA)は二次胆汁酸のタイプのひとつで、肝臓や胃腸など消化に関わる臓器に広く作用して、脂肪の消化を促進します。
下記のように保険適用で出してもらうことも可能です。
熊の胆汁を乾燥した「熊胆(ユウタン)」は、漢方医学で使用されています。
生薬の一種で、奈良時代、遣唐使によって日本に伝来したと言われています。
ウルソは、熊胆の主成分を科学的に合成したものです。
タウリン
タウリンは、胆汁酸の分泌を促進する効果もあります。
イオウを含むので、デトック効果もあります。
食材では、イカや貝類に多く含まれます。
その他動物の胆汁&胆のう
漢方や薬膳では、同物同治(どうぶつどうち)の考え方から、弱っている部分を食べると良いという考え方があります。
熊胆(ゆうたん)、熊の胆(くまのい)と呼ばれ、活用されてきました。
ウシの胆汁を乾燥したものを使い、止逆清和錠が有名です。
アイハーブでも、牛の胆汁から作らられたOxBileが販売されてます。
脂質の消化吸収率が下がると、脂溶性のビタミンADEKの吸収も下がります。
油物が苦手な方は、活用されると良いかもしれません。
新しい胆汁酸を増やそう
胆汁酸の90%は回腸で再吸収され、肝臓に送られる=腸管循環しています。
この時に肝臓でできたて一次胆汁酸がよく効き、二次胆汁酸は、あまり効かない・腸内細菌により変化・大腸ガンの原因にもなると言われてます。
体内を何度も循環した古い胆汁酸より、肝臓で新しく作られた胆汁酸の方が効果大です。
新しい胆汁酸を増やすには、古い胆汁酸をすみやかに便として排泄することが大切です。
まずは↓の水溶性食物繊維を積極的にとりましょう。
大麦:βグルカン
マイタケ:MXフラクション
海藻類:フコイダン
こんにゃく:グルコマンナン
杜仲茶:スベルロシド
なお、クミン、コリアンダー、アジョワン、フェンネル、ミントなどのハーブは、胆汁酸の量を増やすとう研究論文があります。
(Nutrition Research, 2000;20(10): 1493-1503.)
吉富さんのYouTubeを拝見すると胆汁酸ネタが何本かあります。
脂質の消化吸収・デトック作用以外の効能ありです。
脂肪肝を抑制脂肪酸がミトコンドリアの膜に結合すると、甲状腺機能が増えてエネルギーがアップ。
このほかにも脳にも存在することが最近の研究でわかってきました。
しかし、なぜ脳に胆汁酸があるのか、その必要性は、まだ詳しくは解明されていませんが脳でも重要な働きをしている可能性が高いです。
地味なイメージの胆汁酸ですが、もっと有益な働きがありそうです。
まとめ
今回のテーマを胆汁としましたが、脂肪酸がメインの内容となりました。
脂肪酸は、悪玉(LDL)コレステロールから作られ、コレステロールから生成される物質の8割が胆汁酸になるとも言われてます。
アラフォー以降の女性は、女性ホルモンの生成能力低下により、原料としての悪玉(LDL)コレステロールが余る 甲状腺機能低下により、コレステロールの仕分け能力低下により、これまた原料の悪玉(LDL)コレステロールが余ります。
ダブルで余るので、悪玉(LDL)コレステロールが上がってきます。
コレステロールは、悪玉(LDL)と善玉(HDL)コレステロールのバランスが大切です。
善玉(HDL)を増やすには、有酸素運動とEPA&DHAです。
悪玉(LDL)コレステロールが高くなってきた=胆汁酸が充分に作られていないかもです。
いつもここに落ち着くのですが(^^;
まずは、甲状腺ケア(副腎ケア)のための自律神経バランスを整える生活が大切です。
食材では、大麦、マイタケ、海藻類、こんにゃく、杜仲茶などの水溶性食物繊維を積極的にとりましょう。
ウルソやOX-Bileをとると、便通が良くなるという話はよく聞きます。
便通改善薬で胆汁の小腸での再吸収を抑えて、大腸に流れる胆汁を増やして蠕動運動が活発にするグーフィスが保険適用であります。
甲状腺機能低下の症状に便秘がありますが、悪玉コレステロールから胆汁酸がちゃんと作れていないからも原因もあるのかな思いました。
私は胆汁の出が悪いタイプという自覚があります。
油物を食べる時はウルソかOXBileをプラス
マイタケは松茸より好きなので、週3回は食卓に登場です。
みなさんも胆汁を意識した生活を送ると気づきがありますよ(^^)